おにぎりの海苔

友人Kから聞いた話

ある日の給食で、一緒に食卓についていた保育士Oさんの対応が気になったといいます。

こんなことがありました。

あなたなら、この場面でどのような声かけをしますか?

事例 Aちゃんは給食に出たおにぎりの、海苔を丁寧にはがして、海苔から食べました。

「海苔だけ食べるの?」

「海苔、きれいにはがれたね。」

「海苔がなくなって御飯が寒そうだね」

「海苔はおいしい?」

「海苔がすきなんだね?」

 

いかがでしょうか?

友人が気になったというO先生の言葉がけは次のようなものでした。

 

「Aちゃんは、海苔がきらいなんだね~(^^)にこっ。」

 

 

O先生は共感的に語りかけています。

 

 

これが応答として適していたかどうか、は

その場にいなかったので推測にしかなりません。

ただ、、、、

 

もし海苔がきらいだったら、はがした後は食べないで、横においておくのじゃないかな?

ということで、友人Kと私の意見は一致しました。

 

 

保育の仕事をするようになってから、私が強く意識してきたことは、

1.その子の行動をどのように見るか。解釈するか。<認識のステージ>

2.そのうえで、どのような援助・かかわりをするか、しないか。<行動のステージ>

 

という2つの視点でしたので、ちょっと当てはめてみたいと思います。

<行動のステージ> 共感「的」な言葉がけ(「○○なんだね~」)はしています。

<認識のステージ> この事例ではAちゃんの「心」ですが、Aちゃんが感じていることを

理解できたかどうか、大変疑問です。というのも、Aちゃんはその言葉を聞いてキョトンとして

していたといいます。

 

 

子供との関わりについては、よく「こうしたらよい」という行動の指針が示されることが

あります。伝える側としては「子どもを正しく見ている」ということが暗黙の前提になって

いる、もしくはきちんと書いていたり言っていたりするけれども、

本や講義、アドバイスからそれらを受け取る私たちは、

「こうしたらよい」というところにどうしてもフォーカスして受け取る傾向があります。

 

しかしこの、

「子どもを正しく見ている」=「できるだけ事実の認識を正確に、少なくともハズさない」

ことは保育士の専門性の肝だと思うのです。

 

それは自分の経験から勝手な推測をしない、ということでもあります。

O先生には一つの認識のくせのようなものがあるようです。

そのこと自体は推測にすぎませんが、他の先生とは異なる状態を生んでいるということは

それなりの原因があるということは確かです。

 

年度の頭から半年たった今も、この先生は子どもから信頼を得るに至っていない

という状態になってようやく、他の先生たちとの差を目の当たりにしてO先生自身が困惑してい

ます。。。

「どうしても保育上支配的な関わりが強くなるため、ますます子どもの心が離れているんで

す、また、今後言葉と感情について混乱が生じるかもしれません」

と、O先生の上司であるK先生は仰るのでした。

 

ここに見られる状態をそのままにしておくのはまずいです。

担任先生として複数の子どもの成長を援助する仕事にあって、

その複数の子どもたちと、ひとつひとつコミュニケーションが噛み合わないとすれば、

O先生は、自身の努力について徒労感を覚え、いずれ疲弊してしまうか、子どもとの支配的な

関わりをもっと強めていくでしょう。

そして子どもは受容されている感覚を持ちにくいので、その影響は後になって大きな違いと

なって出てくることになります。

 

 

どうしたらよいでしょう。

 

つづく・・・