おにぎりの海苔 その2

行動の意味を先読みする前に大事なこと

O先生には一つの認識のくせのようなものがあるみたいでした。

私にも「癖」があります。

子どもが「なぜそれをしたのか」すぐに原因を特定したがるという癖です。これは私の経験ですが、私(保育士)にとって対応が難しいと感じる子どもの姿を間のあたりにして、しかもそれが慣れない事柄だと、
頭が混乱したものです。
そんな時、もっともらしい理由を見つけて落ち着こうとしている自分に気が付いたことがあります。

「○○ちゃんは△△なんだね~」「きっと◆◆だから、■■したかったんだね~」

さて、
それは本当か。
正直なところ、よくわからないことだったのでないか。今にして思います。

空を見上げて楽しそうにしている1歳児を見て、
空がきれいだからなのか
とりが飛んでいたからなのか
風に吹かれて気持ちがよかったからなのか
花のにおいをかいでいたからなのか。

わからないですよね。

だから
「何をみてるの?」と聞いてみたり、
寄り添って視線の先を追ってみたりしますね。
心地よい事柄にはこんなふうにゆとりを持って対応できます。

ところが、
ブロックを友達に投げつけてみる、とか
急に奇声を上げる、とか、
とにかく先生の言うようには動かない、とか、
逆に動きまわってしまう、とか。

そういう時はどうでしょうか。

子ども自身に尋ねる、のはもちろんです。

さらに

困った状態を早くどうにかするため、
原因を(私が)取り除かねば、あるいは(保護者に)とりのぞいてもらわなければ、
という思考になりませんか。
原因を早めに見つけるために推測して、その推測に基づいて動いてしまう。。。。

こうやって行動の意味を先読みしていることが、意外に多いのではないかと思います。
とかく困った行動の方が目につきやすいので、繰り返しているうちに半ば反射的になっていきます。

 

子どもの行動の意味は 先生の解釈であることを忘れない

一口に保育の先生と言っても、育った環境も違えば、それまでの経験も異なります。
人間は物事を経験のフィルターを通して認識しますから、
同じものを見て、寸分の違いもなく同じように感じることはないのです。

海苔がすきなひと、そうでもないひと
好きなものは先に食べる人、後に残すひと

たったこれだけの保育士個人の違いから、
「はがした海苔」の意味の解釈は何通りかに分かれる可能性があるのです。

ところがこの当たり前の事実を多くのひとは忘れてしまいがちです。
「こどもにどう接したらよいかわからない」そう戸惑う新人先生だけでなく、
ベテランだけど、ちょっとした行動の癖がなかなか治らない、という場合もあります。

自分のこどもについての認識に間違いはない、と思っていないでしょうか。
「行動の前の認識に癖がある」これは意外と見落とされています。

ここで癖があることがいいとか、悪いとか言っているのではありません。
癖があることを前提に、
こどもへの適切な援助のために、こどもの今をより正確に捉えるには
「自分ひとり」の観察に頼らない、ことを大事にしたいと思うのです。
よくわからない時も同様です。

「自分ひとりの観察」に頼るとどうなるか・・・
たとえば次の①から③の先生たちで、全くちがった「観察」になることがあります。

①子どもの喜怒哀楽の感情や言葉にするのが難しい欲求について、共通の経験をもとに理解・共感できる先生。

②子どもの発達や保育理論について勉強を重ねているから知識に照らして当てはめて理解・解釈して意味づける先生。

③その先生の育ってきた環境や、これまでの保育のやり方で上手くいってたし問題もなかったから、私の観察や見立てに疑いをもっていない先生。

これらは一例にすぎません。また、
実際は①②③どれか、ということではなく、何となく混ざっていると思います。

今回の「海苔」への対応は、担任O先生の癖のある認識に基づいてなされましたが、

少なくとも一緒にチームを組んでいる同僚に、
「あのとき私はこう観察(理解)したのだけど○○さんはどう思いましたか?」
と聞いてみてほしい。お昼寝の間・休憩のちょっとした隙間の時間で構いません。

そうすれば、あなたに対する同僚の誤解も解けます。
他の先生が、もし、ちょっとあなたに冷たいなと思うとき、
あなたの援助の仕方や声かけに疑問をもっているという場合もきっとあるでしょう。

私の認識の「癖」みたいなものが見えてくると、
次のアクション(2)声かけや働きかけや援助を実行に移す前に立ち止まることができます。

保育士はその子との間には限られた時間しか与えられていません。
ですから
三歩進んだ信頼関係の構築を、二歩後退させてしまうような不適切な関わりは極力減らす、
という視点があっていいかなと思うのです。

「三歩進んだ信頼関係を後退させる関わり方をなくすことができる」のが、保育士です。

母親にはない保育士ならではの喜びにつながると思いますよ。

 

つづく。。。かもしれない。

 

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